三溪園「観月会」~三溪園×横浜みなとみらいホール施設連携事業 和洋邂逅《リュートが奏でる、月下の舞》

主催・共催公演

2021年9月20日に、三溪園「観月会」で開催したコンサートの模様が、三溪園の動画チャンネルで公開されました。

※屋外での収録です。秋の虫の声と共にお楽しみ下さい。

コンサート概要

タイトル 和洋邂逅《リュートが奏でる、月下の舞》
公演日 2021年9月20日
会場 三溪園旧燈明寺本堂
出演 金子浩(リュート)、藤間翔央(踊り手)
藤間恵都子(振付)
曲目
作者不詳:グリーンスリーブス(カッティング編)
作者不詳:ロビン
作者不詳:私の窓から出ておいき
作者不詳:ワトキンスエール
作者不詳:シチリアーナ
D.ケルナー:ファンタジア イ短調
D.ケルナー:ファンタジア ハ長調
S.L.ヴァイス:組曲ニ短調
J.S.バッハ:G線上のアリア
J.ダウランド:運命
主催
三溪園(公益財団法人 三溪園保勝会)
横浜みなとみらいホール(公益財団法人 横浜市芸術文化振興財団)

出演者

■ 金子浩
桐朋学園大学古楽器科卒業。オランダのデン・ハーグ王立音楽院リュート科教師ディプロマ及びソロ・コンサート、またコンバティメント・コンソート・アムステルダムの通奏低音奏者としてオペラ公演、演奏会、レコーディングに参加する。バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏会、レコーディングに参加。NHKテレビ、ラジオ等に出演。2014年11月、エーベックス・クラシックスよりソロ・アルバム「ハートランド」リュートで聴く名曲集が再版される。その他の古楽演奏家とのレコーディングも多い。洗足学園音楽大学非常勤講師
■ 藤間 翔央(踊り手)
藤間流(勘右衛門派)師範
(公社)日本舞踊協会会員
横浜雙葉中学・高等学校、早稲田大学文化構想学部卒
各流派合同新春舞踊大会 大会賞・会長賞受賞
2歳より母・藤間恵都子師に師事。15歳で藤間流名取となる。21歳で藤間流師範となる。24歳より藤間藤太郎師に師事。日本舞踊協会公演、日本舞踊協会神奈川県支部公演、アナザー・カンパニー新人公演、国立劇場主催公演、等に出演。NHK「にっぽんの芸能」出演。日本舞踊協会神奈川県支部主催のワークショップ、横浜雙葉学園の「日本舞踊の会」、岩間市民プラザ主催のワークショップ、東京都主催キッズ伝統芸能体験などの講師として積極的に参加。ハウステンボス歌劇学院 講師。
■ 藤間 恵都子(日本舞踊振付)
藤間流(勘右衛門派)師範。(公社)日本舞踊協会 会員。日大芸術学部演劇学科舞踊コース非常勤講師。母・藤間勘十代、藤間藤太郎に師事。伝統と伝承を大切にしながら、新しい作品への創造にも意欲的に取り組む。古典で培かわれた技術と表現力に定評がある実力派。 表現者としての活動だけでなく、後進を育て、子供達への普及活動にも熱心に取り組む。文化庁インターンシップ研修生として地唄舞を研修。NHK邦楽番組「芸能花舞台」「にっぽんの芸能」に多数出演。 モンゴル、韓国、メキシコ、フランス、アメリカ、台湾等の海外公演も多数。平成2年より現在まで、リサイタル「恵翔会」11回開催している。韓国芸術総合学校の招聘講師を務めた。
1987年 日本舞踊協会新春舞踊大会1位・文部大臣奨励賞
1995年 花柳寿應賞第9回新人賞
1995年 舞踊批評家新人賞
2000年 平成12年度文化庁芸術祭優秀賞
2003年 松尾芸能賞新人賞
2007年 平成19年度文化庁芸術祭優秀賞

「和洋邂逅」~もう一つの邂逅~

 和洋邂逅「リュートが奏でる、月下の舞」は、三溪園に設置されている旧燈明寺本堂が会場となる。明治時代に絹貿易によって財を成した横浜の実業家・原三溪が開設したこの三溪園には、日本各地から移築された歴史的価値の高い建築物が絶妙に配置されている。その中でひと際目立つ園内の小高い丘に建つ象徴的な塔が、三溪園で最も古い建物である旧燈明寺三重塔である。今回の舞台となる本堂と三重塔は京都加茂の地で室町時代に建立されたが、大正3年に荒廃によって朽ちゆく姿に危惧した三溪が、三重塔だけを三溪園に移築した。残された本堂はその後京都を襲った暴風雨で大破してしまい解体され、以来現地の庫裏に部材が格納されたままであった。
 その後文化財保存の重要性を説く加茂の旧燈明寺関係者たちの間で、本堂を復元し後世に残そうという気運が高まり建物の移設先を探っていたが、必要となるスペースや三重塔保存の実績を鑑みて、昭和62年に三溪園の現在の場所に移築されることとなった。三重塔と本堂、まさに73年ぶりの「めぐり逢い」である。
 リュート、日本舞踊、古建築といった東西の人々から親しまれてきた文化の邂逅、すなわち「めぐり逢い」、これは、三重塔と本堂の関係性にも通じるものである。73年ぶりの再会以後ずっと三重塔は小高い丘の上に聳え、その姿はまるでそれまでの本堂の不遇を癒すように、優しく見守っているようにも見える。
 今回の企画は、歴史あるもの同士が邂逅することで新しいものを生み出すという意図に加え、本堂への庇護に対する三重塔へ感謝を込め、音楽と踊りで「めぐり逢い」を表現することが骨子である。三重塔と本堂とも、古くは中国から伝わり日本で醸成した建築様式「和様建築」で建てられている。73年ぶりの「めぐり逢い」は、「和様邂逅」でもあった。      (横浜みなとみらいホール チーフプロデューサー 佐々木真二)