2024年度 ホールオルガニスト・インターンブログ【第5回】
2024年12月14日 (土)
こんにちは!ホールオルガニスト・インターンシッププログラム第20期生の中川です。
11月29日に神奈川県民ホールにて「パイプオルガンを弾いてみよう」というイベントがあり、こちらにスタッフとして参加しました。今回はその時の様子をご報告します。
神奈川県民ホールのオルガンはドイツのヨハネス・クライス社によって製作され、1975年1月の開館に合わせて1974年9月、小ホールに設置されました。公立の音楽ホールにパイプオルガン設置されたのは神奈川県民ホールが初めてだったようです。3段鍵盤でストップ数30、パイプ総数2024本のこのオルガンは、開館当初から多くの方に愛されてきました。
今回のイベントは、横浜みなとみらいホールと神奈川県民ホールの連携事業ということで、横浜みなとみらいホール ホールオルガニストの近藤 岳先生と、神奈川県民ホール オルガン・アドバイザーの中田恵子先生の指導を受けながら、神奈川県民ホールのパイプオルガンで演奏できるという贅沢な内容でした。
そして私は、参加者にポルタティフオルガンを体験してもらうコーナーの担当でした。今回皆さんに体験していただいたポルタティフオルガンは、足踏みふいご式のもので、普段は横浜みなとみらいホールにあるルーシーの妹的な存在でもあります。「スージー」という名前がつけられていますが、この名前は当時のオルガン担当の方の名前に由来しているそうです!
スージーは、オルガンの仕組みを理解する用途で使われることが多く、今回も演奏だけでなく、ふいごで風(空気)を送ることも体験していただきました。
風がなくなると、演奏中でも容赦なく音楽が止まります。風がなくなる瞬間、音楽が「ピタ!」というよりは「ふにゃっ~」とした音で終わり、「あれれ?」という不意をつかれた感じになり、毎回笑いが起こりました。
どんなに上手に弾いても、風がないとパイプオルガンは鳴らず、演奏できないことを実感できたのではないでしょうか?現代のパイプオルガンには、電動送風装置が設置されていることが多いですが、昔は"ふいご職人"が風をつくり、送風していました。オルガンは一人では演奏できない楽器だったことがよくわかります。和気あいあいとした雰囲気の中、スージーを囲みながら楽しいひと時を過ごすことができました!
イベントの最後には、先生方がJ.Sバッハ:《目覚めよ、と呼ぶ声が聞こえ》BWV645を演奏しました。この曲は6曲からなるシュープラー・コラール集の中の第1曲で有名な曲です。演奏を聴かれた方は、心が温かくなったのではないでしょうか?
このようなイベントに参加させていただくと、オルガンの楽しみ方が多種多様であることに気づかされます。参加された方の興味もさまざまで、パイプオルガンを弾くだけでなく、オルガンのデザインを視覚的に楽しんでる方、先生の演奏や他の方のレッスンを聴いて楽しんでいる方、スージー体験では風を感じて喜んでいる方もいらっしゃいました。オルガン好きの方々とお話すると毎回新しい発見があり楽しいです。ご参加してくださった方々、ありがとうございました。
神奈川県民ホールは、施設老朽化のため2025年3月31日に休館します。
パイプオルガンがどうなるかは現時点では未定のようですが、長年多くの方から愛されてきたオルガンなので、残して欲しいと切に願います。オルガンに限ったことではありませんが、時代の移り変わりの中で、価値のあるものを見極め、次の世代に残していくことを真剣に考えなくてはいけないと思います。
神奈川県民ホールでは休館までさまざまなオルガンコンサートが開催されますので、ご興味ある方は是非足を運んでください。そして、横浜みなとみらいホールのルーシーにも会いに来てくださいね!
★1月22日(水)12:20 開演
第249回オルガン・1ドルコンサート 4つのエレメンツ【出演:マーク・フィッツェ】
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★2月19日(水)15:00開演
第7回オルガン・1アワーコンサート 交響的な響きを求めて【出演:廣江理枝】
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「ホールオルガニスト・インターンシップ・プログラム」
横浜みなとみらいホールが2002年より実施している、若いオルガニストを対象とした、ホールオルガニストに必要な資質を習得するための研修制度です。
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