コラム

2024年度 ホールオルガニスト・インターンブログ【第3回】

2024年10月14日 (月)

 皆さん、こんにちは。ホールオルガニスト・インターン生の趙 三川(チャオ・サンチュアン)です。
 横浜での「ホールオルガニスト・インターンシップ・プログラム」がはじまって、あっという間に5ヶ月が過ぎました。このプログラムでは、パイプオルガン“ルーシー”にたくさん触れることができるため、“ルーシー”の音色・音響効果を深く理解でき、ホールオルガニストの近藤 岳先生をはじめとするオルガニストから様々なスタイルの作品の演奏方法を学ぶことができます。さらに「オルガン・1 ドルコンサート」などのオルガン公演に参加し、多くの音楽家と交流しながら勉強することもできます。このブログを通じて、皆さんがホールオルガニストの仕事により魅力を感じていただけたら嬉しいです。

 今回は、私が撮影した写真や動画を交えながら、インターンシップの活動のひとつである「オルガン・メンテナンス」をご紹介します。「オルガン・メンテナンス」はホール利用のない時間帯に、私たちインターン生や近藤岳先生、更には過去のインターン生がパイプオルガンを演奏し、楽器に不具合が無いかを確認する、楽器をより良い状態で維持するための重要な時間です。

 また、先日、私の大学時代の先輩であり、現在は四川音楽学院電子オルガン科の助教、成都文旅局アートプロモーションプロジェクトチームリーダー、四川省直属組織委員会会員である、李 林駿(リ・リンジュン)先生が来日されました。その際にホールの視察と“ルーシー”を体験していただきましたので、最後にその様子をご紹介します。 

ある日の夜間オルガン・メンテナンス記録

 私は千葉県の松戸市からみなとみらいに通っています。
 毎回メンテナンスに向かう際、素晴らしいホールの雰囲気を感じながらパイプオルガンを演奏できることを想像して、とてもわくわくします。 

 ホールの事務室に着いたら、毎回、自分の机に置いてある資料を確認し、パイプオルガンの鍵を受け取ります。メンテナンスの状況を記録するノートなどを準備し、ホールの照明をつけます。
 このように、メンテナンス前にもやらなければならないことが多くあります。 

 それではメンテナンス※を始めたいと思います。
 パイプオルガンのメンテナンスでは、様々な音色の組み合わせ(レジストレーション)を試しながら多角的に楽器を演奏します。その都度、楽器のコンディションやアクションに目を見張り、様々な音色を使用することで、もしパイプやアクションに不具合があった時に、「どの音色のパイプが不調なのか、どの部分のアクションの調子が悪いのか」がわかるからです。もし問題があればノートに記録します。このノートは近藤岳先生やホールのスタッフも確認しており、楽器の状態を確認するための重要な資料になっています。
 私がメンテナンスを行う際の手順は、「①一番強い(大きな)音を使って、即興的に演奏する」→「②“ルーシー”しか持っていない特別なストップ(音色)を演奏して、状態をチェックする」→「③様々な時代の作品を演奏する」→「④問題点があればノートに記録する」です。

※横浜みなとみらいホールでは楽器を弾き込む業務を“メンテナンス”と呼びます。

李先生の視察とオルガン体験

  続いて、李先生がご来館した日のレポートをします!
  当日は、パイプオルガンを体験していただくだけでなく、横浜みなとみらいホールのエントランスや小ホールなど、大ホール以外の施設もご案内しました。
 パイプオルガン体験の際は、私がはじめに少しだけ演奏をして、このホールの音響効果やどのような音色の組み合わせがあるかなど、ホールやパイプオルガンの特徴を説明しました。
 今回、李先生ははじめて日本のパイプオルガンを演奏しました。そして私がアシスタントをして、サン=サーンスの「白鳥」を演奏しました。 

 李先生から”ルーシー”を体験した感想をお聞きしました。

「私は幸運にも“ルーシー”の演奏を体験することができました。私の指がオルガンの鍵盤に触れた瞬間、荘厳な雰囲気が私を包み込みました。パイプオルガンの壮大で明るい音色がシューボックス型のホール全体に広がり、まるで時間と空間を超えて心の奥深くを揺さぶるような、無限の力を持った一音一音が響き渡りました。
 その音色は実に豊かで、多彩でした。低くうねる轟音から澄んだ高音まで、特に内蔵されている特徴的なストップである【チェレスタ】、【ツィンベルシュテルン】、そして鳥の鳴き声に似た【ナイチンゲール】を体験しました。まるで大聖堂の中にいるかのようで、オーケストラ全体を操り、音楽の神聖な空気に包まれているかのような感覚でした。“ルーシー”は単なるオルガンではなく、横浜みなとみらいホールのシンボルであり、その音は時空を超え、人々の心の奥底にある感情や記憶を呼び起こします。
 “ルーシー”の演奏を体験できたことは、非常に光栄であり、興奮を感じました。横浜みなとみらいホールを訪れ、“ルーシー”を演奏した体験を中国の同僚たちにぜひ伝えたいと思います。未来に中国と日本の芸術文化交流を促せるよう頑張ります。」 

  このブログに通して、私の重要な日常業務内容とその流れについて、皆さんにご説明できたかと思います。第20期のホールオルガニスト・インターン生として、私の第一の目標は、美しい音楽を皆さんに届け、様々な音楽など豊かな芸術を楽しんでいただくことです。そのため、今後のインターン活動、学習、演奏において、より良い芸術体験をお届けすることを目指して、精進してまいります。

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<今後オルガンの音色がたのしめるコンサート>

★令和6年度 心の教育ふれあいコンサート
【第1クール】2024年 10月1日(火)、2日(水)、3日(木) ※開催終了
【第2クール】2024年 10月8日(火)、9日(水)、10日(木)、11日(金) ※開催終了
【第3クール】2024年 10月16日(水)、17日(木)、18日(金)
各日1日2公演 ①午前の部 10:30開演(10:00開場)/②午後の部 13:30開演(13:00開場) 
※座席は3階席(先着順自由席)で限定枚数のみ販売いたします。
 詳細はこちら

★横浜みなとみらいホール オルガン・リサイタル・シリーズ47
ジャン=フィリップ・メルカールト オルガン・リサイタル
ノートルダム大聖堂 ー オルガン音楽の100年 〜12月の再開を記念して〜
10月27日(日) 14:00開演
詳細はこちら

「ホールオルガニスト・インターンシップ・プログラム」 

横浜みなとみらいホールが2002年より実施している、若いオルガニストを対象とした、ホールオルガニストに必要な資質を習得するための研修制度です。
★詳しくはこちらをご覧ください。