インタビュー

レセプショニスト~おもてなしの心でお客様をお迎えする

2022年5月20日 (金)

横浜みなとみらいホールでは今秋のリニューアルオープンに向けて、公演を支え、ホールの顔になるレセプショニストを募集しています。来場されるお客様を最善のサービスでお迎えするレセプショニストという仕事の魅力について、元レセプショニストの田中勇輔さん(11~17、19~22期)と杉山正則さん(14~18期)のお二人にお話を聞きました。
(ホール仮事務所にて 左から田中勇輔さん、杉山正則さん)

横浜みなとみらいホールのレセプショニストをやってみようと思ったきっかけを教えてください。

田中:当時、音大受験のために習っていた先生から、みなとみらいホールのレセプショニスト募集があることを聞きました。当時はレセプショニストって何?という感じだったので、家に帰って色々調べて、音楽ホールで接客をする仕事だと初めて知りました。私は、中学校の合唱コンクールで初めて横浜みなとみらいホールのステージに立ち、とても感動したのを覚えています。将来こういうところで仕事をしてみたいなと思っていたので、先生から声をかけてくださったこともあり、応募を決意しました。

杉山:サラリーマン生活をちょうど終えた時期に、まだ仕事を続けたいと思って職探しをしていたら、偶然ホールの求人を見つけました。音楽が大好きですし、前からホールに来ていてレセプショニストの動きを見ていて、これなら自分にできるのではと思いました。元々横浜みなとみらいホールに親しみがあり、大好きなホールなんです。神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期会員なので良く公演を聴きにきていて、応募したらもっと聴けるのかなと、不純な動機でした(笑)。 

初めてホールでお客様をお迎えしたときのことを覚えていますか。

田中:覚えています。エントランスの入口に立ったのですが、とても緊張しました。勤務に入る前に研修を受けるのですが、実際にお客様が目の前にいるのといないのとでは大違いでした。研修で出来たことが、実際に現場に立つと出来ない。初めてのアルバイトで、しかも接客業。笑顔も作れなくて、最初は「いらっしゃいませ」の声がでませんでした。そのとき先輩のレセプショニストの皆さんが「緊張しなくて良いからリラックスして」と声をかけてくれました。その言葉に助けられて、それからは徐々にリラックスしながら接客することを心がけるようになりました。

杉山:最初は小ホールでトランペットのリサイタルでした。緊張してないつもりが、最初はやはり声が出なかったのを記憶しています。

レセプショニスト勤務の中で印象に残っているできごとを教えてください。

田中:公演の最後に、お客様から「今日のコンサートはすごく良かった」という言葉をい ただいて、笑顔でお帰りになる姿をみるとこの仕事をやっていて良かったという気持ちになりました。自分も音楽が好きなので、お客様と素晴らしいと思うものを共有できているということが一番感動したことです。一番印象に残っているのは年末のジルヴェスターコンサート(※1)ですね。ほぼ毎年勤務に入っていて、カウントダウンをお客様、演奏家、スタッフ、レセプショニストが一体となって迎えるあの雰囲気が好きです。

杉山:たくさんありますが、横浜市主催の「心のふれあい教育コンサート」(※2)の時に、小学4年か5年生くらいの男の子が私の所にやってきて、「ちびまる子ちゃんのヒデじいみたいですね」と言われました(笑)。その時のあの子の顔は忘れられないですね。あとは、ホールに勤務してから3年目、2015年9月に面白い事がありました。一週間のうち、月曜日に合唱の出演者の一人としてステージに立ち、木曜日は主催者としてリサイタル公演を開きまして、土曜日はレセプショニストの仕事でホールに来て、日曜日には神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期公演でお客様として来場したというフルコースを経験したことがあります(笑)。タイミングの問題ですが、そこまで一気に経験した人はあまりいないのではと思います。

レセプショニストとしての経験が、いまどのように生かされていると思いますか

田中:この仕事は一人では成り立たない、報告・連絡・相談が欠かせない仕事だと思います。お客様が具合が悪かったり、自分で対処できないとなるとマネージャーに相談するなど、何事もすぐに相談することが大事だと思いました。あとは今どこで何が起きているか、目の前のお客様だけを対応するのではなくて、広い視野でできるだけ多くのお客様を見る意識でいることが大事だと思います。ある程度慣れてくると、受け身ではなく、次はこう動いたら周りの人が働きやすいとか自分で判断できるようになってきました。

杉山:私は営業マンが長かったので、グループでの業務を経験することは無かったのです。レセプショニストの仕事で初めてグループでの業務というもの経験して、チームワークの大切さを60半ば過ぎて初めて気づきました。皆さんに色々と教えていただいて、最初のうちは厳しい事を言われたりもしましたね(笑)。でもチームワークで乗り越えられたなと思います。
レセプショニスト勤務当時の写真 左端:杉山さん

レセプショニストの魅力について、お教えいただけますでしょうか。

田中:音大生でなくても一般の大学生で、音楽に興味がある人で、接客や人と話すことが苦でない人なら是非応募してみたらと思います。そしてなによりも自分の成長に繋がるので、人との接し方が変わるとか、人として必要なことを身に着けるのに最適な場所、アルバイトだと思うので是非おすすめしたいと思います。

杉山:シニア世代向けに、人と話をするのが好きであれば、やってみませんか?と伝えたいですね。個人的なことをいえば、私はパイプオルガンが大好きなのですが、今まで聞いたパイプオルガンの中でルーシーが最高のパイプオルガンだと思っています!その関係もあって、横浜みなとみらいホールが大好きで、そこで仕事ができることが一つの魅力だったので応募しました。 音楽にちょっと興味があって、人との付き合いが嫌でなければぜひ経験してみてもらいたいです。

田中:ホールでお客さんを迎える事と、自分がステージに立って演奏することは同じことだと思っています。どうやって楽しませるかのベクトルや方法が違うだけで、レセプショニストはホールの接客でお客様を楽しませる、演奏者はパフォーマンスでお客様を楽しませるということだと思います。もちろん演奏者がいないと演奏会は成り立たないと思いますが、それをサポートするホールのスタッフもなくてはならない存在だと思います。

リニューアルオープンするホールに期待することを教えてください。

田中:リニューアルオープンがとても楽しみです。長期の休館でしたが、どういうところが生まれ変わっているのか気になります。中身が変わって、気分も一新されて、演奏者もお客様も新しい気持ちで音楽を楽しんだり演奏したりできるのではと思います。レセプショニストに関しては、あえて接客方法など変える必要はないかもしれませんが、気持ちが変わるのが一番大事なのかなと感じています。横浜みなとみらいホールは場所も良いところにあるので、雨にも濡れないし交通の利便性も良く、これから益々音楽ファンを増やしていけるのではと思います。ホールが新しくなることで、また新しい風を吹き込んで、たくさんの方に新たな波を起こせたら良いと思います。

杉山:何年か前にステージの表面を少し削ったことがありましたよね。あれだけで音がガラッと変わったんです。あの時、休館明けの最初の演奏会が神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期で、たまたま会員だったので聴きに行ったのですが、弦楽器の音の伸びがこんなに違うんだって驚きました。ですので、今回のリニューアル後のホールにも期待したいです。国内のコンサートホールのなかでも、音響はシューボックス型の横浜みなとみらいホールが本当に良いと思います。その辺をもっとアピールしたら良いと思います。


―――今日はありがとうございました。

(取材・文・写真:横浜みなとみらいホール運営チーム)

レセプショニスト応募方法・詳細

※1<ジルヴェスターコンサート>
神奈川県にゆかりのある音楽家たちが一夜だけのヴィルトゥオーゾ・オーケストラを結成。話題のソリストと奏でる、華やかな年越しのガラコンサート。

※2<心の教育ふれあいコンサート>
横浜市内の小学生が大ホールでオーケストラの生演奏を体験し鑑賞マナーを学ぶコンサート。2020年までに延べ60万人以上が参加した。