新企画「プロデューサー in レジデンス」始動 初代プロデューサーに藤木大地氏(カウンターテナー)が就任

2021年9月29日 (水)

横浜みなとみらいホールでは、今年度より国内外で活躍する音楽家をプロデューサーに迎える「プロデューサー in レジデンス」がスタートします。演奏家が企画制作からホールと連携することで、音楽ファンの心に残る企画性の高い演奏会の実現、さらには様々なスタイルで音楽を楽しむことができるようになった社会で演奏家自身のプロデュース力の向上を目指します。
初代プロデューサーには東洋人のカウンターテナーとして初めてウィーン国立歌劇場にデビューするなど国際的な活躍が光る藤木大地氏が就任。新たな試みにご期待ください。


■初代プロデューサー就任によせて

僕が声楽の勉強のために上京した年にオープンした横浜みなとみらいホールと、こんなに素敵なご縁で結ばれることとなり、本当に光栄です。

歌手としての国際的な経験、そして歌を諦めようとしていた頃には音楽祭の制作スタッフとしても働き、実際それを生業にしようとウィーンの大学院で経営学を修めた20代後半から30代半ばの頃の経験、40歳を過ぎて、それらの点がだんだん線につながってきたなと感じていた時期にいただいた大役を、新時代を迎えたばかりの横浜市から、全国の皆さんに音楽を楽しんでいただくことで果たしたいと思っています。

プロデューサーとは、オーディエンスのための企画を作る人のことだと思っていました。もちろんそれは正しいのですが、舞台芸術を職業とし生活する音楽家、スタッフ、そして家計を同じくするその家族の、音楽や芸術を愛し全うしてきた人生をこれからもあたたかく維持するために、人と人とをつなぎ、そういった人たちの仕事、雇用を新たに、そして継続的に生み出すこともまた、プロデューサーのつとめであると考え始めています。

そのようなコンセプトから、僕の任期中には、全国各地の劇場やご主催者との共同(協働)制作、また教育機関との強いタイアップによる職業人の育成を二本柱として、横浜にも、ご一緒いただく各地の皆さんにも、将来へのよいブランディングの機会となるような、最高品質の事業ラインアップを構想しています。本物に触れてこそ、未来の聴衆も育つと信じているからです。

すでにプロジェクトは動き始めていますが、一緒に船に乗ってもいいよ、と申し出てくださる皆さんがいらっしゃいましたら、大歓迎です。ホールまでお問い合わせいただけたら嬉しいです。

こんにち、これまでライバルだと位置付けられていた人たちも、目先の利益にとらわれず、みんなで手を取り合って文化芸術の維持、発展に協力し、すなわち社会に寄与する時代だと思います。

文化が人の心を豊かにするという有名な言葉が本当だったことを、そして確かに優しい世の中を作ることを、この仕事に没頭することで実感するのだろうし、その実感をかたちにしてお伝えしていくつもりです。

それでは、劇場でお会いしましょう!

藤木直筆サイン(トリミング).jpg




■藤木大地氏プロフィール

藤木大地(ふじき・だいち/カウンターテナー)

2017年、ウィーン国立歌劇場に鮮烈にデビュー。東洋人のカウンターテナーとして初めての快挙で、大きなニュースとなる。2012年第31回国際ハンス・ガボア・ベルヴェデーレ声楽コンクールにてハンス・ガボア賞を受賞。同年、日本音楽コンクール第1位。2013年ボローニャ歌劇場にてグルック『クレーリアの勝利』マンニオ役でヨーロッパデビュー。国際的に高い評価を得る。 国内では、主要オーケストラ公演やリサイタルがいずれも絶賛を博している。
2021年、大野和士の総合プロデュースにより新国立劇場にて世界初演された渋谷慶一郎『スーパーエンジェル』(島田雅彦台本)ではアキラ役で主演。アンドロイド「オルタ3」との共演は画期的なオペラのかたちを世界へ提示した。バロックからコンテンポラリーまで幅広いレパートリーで活動を展開し、デビューから現在まで絶えず話題の中心に存在する、日本が世界に誇る国際的なアーティストのひとりである。洗足学園音楽大学客員教授。

■プロデューサー in レジデンス 事業概要

【目的】
演奏家がホールと連携し、企画制作から実施まで携わることで、自身のプロデュース力を高めるとともにホールコンテンツの創造性を高める。
【配置期間】
2か年
【人材】
国内外から高い評価を受ける日本人ソリスト
【初代就任アーティスト】
藤木 大地(ふじき・だいち)
期間:2021年9月~2023年8月
名称:横浜みなとみらいホール プロデューサー 2021-2023
【プロデュース内容】
① 横浜みなとみらいホールリニューアルオープン記念事業
② オーケストラ公演や室内楽公演の企画
③ 事業計画の策定や広報への取り組み ほか