コラム

ホールオルガニスト・インターンブログ【第3回】

2023年10月14日 (土)

こんにちは!ホールオルガニスト・インターンの阿部です。
今回は7月に行われた、オルガニストインターンシップ・プログラムの研修の一部をご紹介します!

アナウンス研修(2023年7月3日実施)

オルガンのコンサートでは、演奏の他に曲の解説などのトークを必要とされることがしばしばあります。
横浜みなとみらいホールの「オルガン・1ドルコンサート」でも、オルガニストはトークをしています。
そこで、この日はアナウンサーの岩崎里衣さんにホールへお越しいただき、アナウンスのコツを教えていただきました!

早口言葉の練習もしました!
みなさんも、ぜひ言ってみてください。

「赤巻紙、青巻紙、黄巻紙」
「生麦、生米、生卵」
「お綾や、母親にお謝りなさい」
「この竹垣に竹立てかけたのは、竹立てかけたかったから、竹立てかけた」

この辺は定番ですね。

それから、アナウンサーや声優・俳優さんは皆練習するという、『外朗売ういろううり 』も岩崎さんに披露していただきました。
『外郎売』とは、歌舞伎の長台詞のことで、最近では堀越勸玄君が見事に披露したことでも知られています。
長ーいセリフですが、出だしはこのような感じです。

------
拙者せっしゃ親方おやかたもうすは、お立合たちあいのうちに御存知ごぞんじのおかたもござりましょうが、お江戸えどって二十里にじゅうり上方かみがた相州そうしゅう小田原おだわら一色町いっしきまちをおぎなされて、青物あおもののぼりへおでなさるれば、欄干らんかんばし虎屋とらや衛門えもん只今ただいま剃髪ていぱついたして、えんさい名乗なのりまする。
------


発音練習したあとは、実際にホールでマイクを使って話す練習をしました。

音楽用に設計されたホールでは音が響くため、言葉を聞き取りやすくするために、はっきり、ゆっくりしゃべらなければなりません。
また、かなり抑揚をつけないと単調でつまらないものになってしまいます。

お辞儀の仕方も教えていただきました。背筋をのばして腰からかくっと曲げます。

舞台袖で講評もいただきました。
この研修の成果は、今後のコンサートで存分に発揮していきたいと思います。

オルガンの構造研修(2023年7月4日実施)

この日は、いつも横浜みなとみらいホールのオルガンの"ルーシー"の、調律・メンテナンスを担当してくださっている河内克彦さんに、オルガンの構造について説明していただきました。

オルガンの管理をするのも、オルガニストの仕事の一つです。
時にはオルガニスト自ら調律することもありますし、不具合があった場合にはすぐに原因を見抜き、ホールへ報告する義務もあります。
そのため、オルガンの構造を知ることはオルガニストにとって必要なことなのです。

この日は、普段は鍵がかかっていて入れないオルガンの内部に入り、色々と見学しました。

調律師の河内克彦さん

後ろの木のパイプにはこの"ルーシー"を弾いたオルガニストたちのサインがぎっしりと書かれています。

鍵盤とパイプをつないでいる金属や木の棒(トラッカー*)がたくさんあります。

人間の背丈よりずっと大きなパイプが並んでいます。

パイプオルガンは世界にどれ一つとして同じものはなく、ホールやオルガンビルダー(製作者)、オルガニストのこだわりがつまっています。
この日も河内さんにお話を聞き、より"ルーシー"を身近に感じることができるようになりました。


---------------------------------------
最後に、今後の公演のご案内です!

●開催中~10月27日(金)
 「パイプオルガンと横浜の街2023」
 日本で初めてパイプオルガンが建造された街、横浜には、現代も数多くのパイプオルガンが音色を響かせています。
 そんな楽器を訪ねながら、横浜の街の魅力を再発見できる好評企画「パイプオルガンと横浜の街」、現在開催中です!  
 ▶詳細はこちら


●10月25日(水)15:00~16:00
 「第4回オルガン・1アワーコンサート ~光を待ち望んで~」
 出演:徳岡めぐみ
私の師匠である徳岡めぐみ先生が登場!今年から東京芸術劇場のオルガニストに就任されて、ますます活躍されています。
プログラム中でもデュプレの《受難交響曲》はなかなか聴くことのできない大作です。
私はアシスタントを務めさせていただきます。
 ▶詳細はこちら


●10月17日(火)~10月19日(木)
 「令和5年度 こころの教育ふれあいコンサート」第3クール
 出演:小林雄太(指揮)、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、阿部 翠(オルガン)、岩崎里衣(司会)
横浜市教育委員会が市立小学校・特別支援学校等の4~6年生を対象に、平成10年度より行っているコンサートで、プロのオーケストラによる本格的な演奏をこどもたちに体験してもらうプログラムです。
9月からスタートし、いよいよ最後の第3クールに突入。このクールでは、オルガン演奏で私も出演しています。
保護者・関係者だけでなく市民の皆様にも一部座席を販売しておりますので、ぜひ聴きにいらしてください。 
 ▶詳細はこちら


ホールオルガニスト・インターンシップ・プログラム 第19期生 
阿部 翠



----
*トラッカー:パイプオルガン内部にある、鍵盤とパイプの弁を繋ぐ木製の細い板状の部品。

「ホールオルガニスト・インターンシップ・プログラム」

横浜みなとみらいホールが2002年より実施している、若いオルガニストを対象とした、ホールオルガニストに必要な資質を習得するための研修制度です。
★詳しくはこちらをご覧ください。