コラム

(藤木Pより)横浜みなとみらいホールを愛する皆さまへ

2022年1月20日 (木)

こんにちは。
当ホールの「プロデューサー 2021-2023」、カウンターテナー歌手の藤木大地です。

横浜みなとみらいホールはいよいよ、今秋リニューアルオープンします。
劇場にとっても、スタッフにとっても、今後出演を予定するアーティストにとっても、再開館から始まる新シーズンに向けて気持ちを新たにする新春を迎えました。
皆さまにとって、幸せな1年になることを祈っています。


世界のオペラハウスやコンサートホールを見渡してみると、指揮者や作曲家以外の現役のプレイヤーが、年間ラインアップを通じてプロデューサーのポストを兼任することはあまり多くないように思います。
けれどスポーツ界に目を転じれば、古田監督が捕手としても活躍したように、あるいは新庄ビッグボスが選手として最後の挑戦をした翌年にボスになったように、ファンの記憶にフレッシュな存在が、その業界を盛り上げる立場を担ういくつもの例を挙げることができます。

音響のよい安全なホールで生の音楽を聴くよろこびは、舞台、客席、そして舞台裏が同じ空間と時間を過ごし、手元に残らないからこそ儚く美しいパフォーマンスを、みんなで一緒に楽しむことだと僕は思います。

一方で、ステージ上でその瞬間に起こっていること、その瞬間に向けて費やす時間と労力と気持ちは、やはりプレイヤー自身、プレイヤー同士が一番よくわかります。

ですので、アンテナがビンビンに張っている現役生活真っ只中、今が旬の状態で僕がこの仕事を拝命したことには、大きな意味があると思います。

皆さまには、これまではステージや本人の発信からしか見えてこなかった、あなたのお気に入りの音楽家のもっと魅力的な顔とか、公演を支えるスタッフの愛や情熱とか、客席を立ったばかりのオーディエンスのホットな声とか、いろいろな素敵なものに日頃から触れていただいて、また時には音楽界が抱える悩みを共有しながら、よい時もそうでもない時も、ホールのファミリーとして応援していただけたら嬉しいです。

オリンピックは盛り上がるけど、クラシックは盛り上がらない。
ロックやポップスは満員になるけど、クラシックは埋まらない。

長年そう信じられてきたことが当たり前だとただ受け入れずに、例えば沢山のスポンサーを獲得できるような、例えば全国どのホールに行っても「横浜」のファンと再会し交流できるような、そして、ホールで起こる最高な一瞬が、もっと多くの人生をよりよい方向に導くような。
みんなのみなとみらいホールは、みんなでそんな劇場になりたいと思っています。

2022年1月
横浜みなとみらいホール プロデューサー 2021-2023
藤木大地